2016年6月4日土曜日

第2セクション アビスコーリッツェム その2

12日目
結露でびっしょりのテントをできるだけ拭いてパッキング。雲ひとつない空で気温も高くなっていきそうです。

トレイルには年配のご夫婦を多く見かけるようになりました。ペースはゆっくりではあるものの私たちより大きな荷物でハツラツと歩いています。自分たちもあんな感じになれるといいなぁと。

少し余裕ができてきたのでテントを乾かしながらゆっくり昼食をとっていると、「イタダキマス」と日本語で話しかけられました。その奇抜な上下黄色のウェアに身を包んだスイス人の青年は郡山に1年住んでいたので、日本語が少し話せるのだそう。短い時間ながらもしっかりと日本ことを楽しく話しました。(ヘンドリックの時の失敗を反省して積極的に会話したのです。)

トレイルは峠に向かって登り基調。見事な滝を臨むチュクタ小屋を通り過ぎると急に人は少なくなっていきました。小屋1つで1日を区切る人が多かったようです。このあたりから抜きつ抜かれつするメンバーが決まってきていまして、先ほどの黄色いウェアのスイス人の彼を含む3人組と年配と若者の男性二人、タンクトップのかっこいい単独の女性がよく前後で歩いていました。

緩やかに高度が上がった後はキュッと角度のある岩場になり最後は雪渓を越えてウィンドシェルターのある峠に到着。タンクトップの女性は「1000mまできたわよーイェーイ!」と叫んでいたので、とりあえず「Yes! Good Job!」と乗っておきました。
峠から下り川沿いテントを張りこの日は終わりました。

13日目
いよいよクングスレーデンを途中で脇にそれ北極圏トレイルだけになる予定の日。
7時に出発して3時間が経とうとする頃。暑くてヘロヘロになっていました。そこに見えてきたのが次のセルカ小屋。

谷というには広い平地のちょっとした高台に建っていました。360度綺麗に山を見渡せる最高の立地。ここまで気持ちのいい眺めの小屋は初めてでした。かなりオススメポイントです。

それにしても暑い。暑いのです。

まぁ、こうなりますよね。午前中から喉を潤さないといけませんから。
ゆっくり休憩をとって気合を入れ直しいよいよ分岐。
文字が薄れて何も読めませんけど、GPSで確認する限りここから分岐するようです。
先ほどまで4人分の幅のトレイルだったのがクングスレーデンを離れた途端シングルトラックになりやがて
踏み跡は何処へやら。
戻ってきました。北極圏トレイルに戻ってきたと実感します。こうでなくちゃいけません。先ほどまでと違い道を探しながらになるので遅々として前に進みませんが、なんだか嬉しくて仕方ありません。もう前後に人はいません。やりたい放題に戻ったのです。

少し歩くと踏み跡は消え10m ぐらい上に現れているような道が続き悪戦苦闘。そんな中で湖の畔に置いてあった折りたたみ椅子に心癒されたりしながら17時まで歩きこの日は終了。途中、奥さんのゲイターのストラップの付け根が足に当たって痛くなってまた1つ足にトラブルを抱えることになってしまっていましたが、対処が早かったことで大事には至らずなによりでした。

ちょっとテントの張り方が雑でしたね。

 14日目。

ただひたすらオレンジのペンキを追いかけて歩いた日でした。一番苦戦したのは国境付近です。スウェーデン側もノルウェー側も相手がどうにかするだろうと考えているのか前後1kmぐらいペンキの道標がなくなってしまうのです。

地図とわずかな踏み跡を頼りにどうにか次の道標を探して行きます。大きく道を外すことはありませんが5mぐらいの崖で行き止まりになってしまったり、歩きにくい場所だったりしてして無駄に時間を費やすことになりました。
しばらくすると上の写真の右の岩にあるようなはっきりとしたペイントがあるのです。あと少し先まで頑張ってペイントしてくれればいいのに。

この日の歩きながら話は今後の人生について。日本でのいろいろなことがなんとなく一区切りついて目標を見失いそうになっているねぇなどと話に夢中になっていたら今現在歩いている道も見失いそうになっていました。人生五里霧中。いい天気ですけどもね。

この日は20kmほど歩いて比較的大きな川の近くで寝ることにしました。川で体を拭ってさっぱりした奥さんはちょっとご機嫌でした。

第2セクション アビスコーリッツェム その1

10日目の8月17日は私の誕生日であり、入籍記念日。
北欧の大地でこの日を迎えることができるのが幸せです。

6時に起床し朝食を食べてからゆっくり歩き出しました。
しばらくはクングスレーデンを歩くことになります。


さすが有名ルートだけあってスタートのゲートがあります。ロングトレイルに来たなぁって感じがしますね。190kmほど通ってきた後ですけど。

スタートからしばらくのアビスコ国立公園内は川沿いの森の中に整備されたトレイルがあり途中にはキャンプサイトもあって上高地に似ています。家族連れのハイカーも多く賑やかな場所です。これまで人がいないところで自由にやってきた身といたしましてはやや窮屈さを感じなくもなく。用を足すにも気を使います。

川がありますが、

渡渉なんてしません!(今までも橋はありましたけどね。)

歩き始めがゆっくりだったこともあり最初のアビスコヤーレ小屋に着く頃には歩き終わりのいつもの時間になっていました。国立公園内は指定地以外でのテント泊は禁止なのでこの旅初めて料金を払ってのテント泊でした。一人100skr(STF会員割引料金)。

料金にはキッチンとサウナ利用料が含まれています。(サウナは別料金だったかも)
チェックイン時に施設の説明を受けました。
キッチンにはプロパンガスのコンロがあって自由に使って良い。もちろん、備え付けの鍋も食器も。水はポリタンクの中のものを使う、使ってなくなったら補給すること。使った水はバケツへ。バケツがいっぱいになったら汚水捨て場に捨てること。水場は脇の川から組み上げていて使いたい放題。サウナは川に近い建物。(体を冷やしたい時はそのまま川へドボン)トイレは管理棟の脇にある。食料は地面に置かず高いところに吊るしてね。動物くるからね。そして、冷えたビールがあるけどどうかね? はい。喜んで!(あんまり冷えてない)
と、言った感じでした。
 キッチンは混雑していて使用せず、水着を持ってないのでサウナ使えずで残念なことにはなりましたけども・・・

 その間にも人は増え続け周りはテントだらけ。かなり日本ぽい状態でした。本当に人気のハイキングコースなのだと実感しました。

この日はビールとピーナッツでお腹を満たし就寝。

11日目。




歩き始めてすぐに樹林帯を抜け原野になりました。湿地もありますが、ここはクングスレーデン、木道がしっかり整備されています。いやもう本当に楽で緊張感のかけらもありません。楽しいのんびりハイキングです。ですが、ちょっと暑い。第1セクションの時とは違い本当に雲ひとつない良い天気。日差しが強くみるみる日焼けをしていくのが分かるほどでした。(2015年は特に暑い夏だったようです。)

しばらく歩きますと国立公園の終端の看板がありました。ここから国立公園の外になり細かい規則がなくなります。
つまりはテントを張ってOKとなりテントが張られています。テント料金節約のためここまで歩いてから寝るようです。

いやもういい天気で気持ちがいい場所なんですが、とにかく暑いです。
王様の散歩道とはよく言ったもので素晴らしい景色が広がるトレイルが続きます。

まさにこういうのが北欧のトレイルって感じなのです。これから北欧を歩きたいという人にはクングスレーデンをお勧めします。
トナカイ柵もこんな立派なステップで越えられます。
いやぁ、もう本当にいい天気です。
この日の目的地アウスヤーレ小屋は湖の畔にあります。7km手前から小屋近くまでボートが出てます。ボート待ちのハイカーの多い事。
私たちは歩きに来ているので湖の脇のコースを汗だくで歩いて・・・途中でボートに抜かれながら・・・
 アウスヤーレ小屋に到着しました。暑さでフラフラな奥さんはまずビール。風に当たって体が落ち着くのを待ちました。
売店が充実していたのでこの先の食料を全部購入することにしました。
アルコールもガス缶もありました。
フリーズドライも豊富です。1万円以上の買い物をしカードでお支払い。STFの運営する小屋のほとんどでカードが使えるので便利です。
宿泊代節約のため小屋の敷地から出て川を挟んだ対岸にテントを張りました。この日もピーナッツとビール飲んで就寝。

2016年5月30日月曜日

アビスコにて。その2

久しぶりのベッドで寝て滞在二日目。
朝食はレストランでブッフェスタイルでモリモリと食べました。ハイキング中の切り詰めた食事の反動なんでしょうね。

その後は部屋でダラダラしたり散歩したり中庭でビールを飲みながら日光浴をしたりなど。奥さんはひねった足首の保護のためにホグロフスのハイカットのシューズを購入。湿地対策もできて喜んでいました。これからしばらくの食料と虫除けなどの消耗品も買い足しました。

エントランスの前にハカリが吊るしてあってザックの重さを量っているハイカーの図

さて、補給地でダラダラしていただけかといえばそうでもなく。
第1セクションでは情報が不足していることがよくわかったのでネットを使ってこの先の情報を調べることにしました。この先は小屋も多くて途中で食料を買い足すことができます。第2セクション全部の食料を最初から背負うのはなかなか辛いことなので可能な限り食料を減らして進むように計画を立てます。
それから、自分たちが進める距離も分かってきましたのでルートの見直しもしました。予定よりも早く第1セクションを終わってはいましたが、次の230kmは厳しい距離です。当初の予定では 北極圏トレイルを忠実に歩き、ルート上にある小屋(vaisaloukta)から湖の対岸にあるリッツェムにボートで渡ることにしていました。(このブログのこの辺参照してください。)それを途中からGransladenというトレイルを歩いて直接リッツェムへ下りるルートに変更することにしました。手に入れた情報によるとトレイルの分岐点からリッツェムまで約60kmほどで予定していたよりも40kmショートカットできそうです。画像で見る限り道標もしっかり整備されていそうなので今までと同じように進めるのではないかということで変更を決めました。(gransledenサイト)

ちなみにこの日の夕食は中庭でインスタントラーメンでした。

2016年5月28日土曜日

アビスコにて。 その1


Abisko Mountain Stationはスウェーデンの山小屋を管理するSTFという団体が運営する最大級の宿泊施設です。国立公園の入口にあり、有名なトレイルコース「クングスレーデ ン」の北のスタート地点でもあります。ハイカーだけでなく親子連れで休暇を楽しむ人も多く自然の中で遊ぶためのベースキャンプ的な場所です。日本だと上高 地っぽいところといえば雰囲気が伝わるかもしれません。

さて、アビスコのバス停で降りた私たちは第一補給地に無事着いたことに感動を覚えつつ宿泊施設のレセプションに向かいました。そこはとても人が多くてごった返していました。どうやらフェールレーベンクラシックというハイキングイベントのゴールの日だったらしく次々とハイカーが到着している時間帯だったようです。昨日まで数人としか会わなかったのでどう振る舞っていいのか戸惑ってしまいました。

しばらく受付に並んで自分たちの順番になりました。これだけの人がいるともしかしたら予約なしでは泊まれないかもと思ったのですが、それは問題ないようでまずは一安心。ホテルとホステルとテント泊のどのスタイルで泊まるのかと聞かれました。テント泊は分かるとしてホテルスタイルとホステルスタイルの違いはどのくらいあるのか質問してみました。

ホテルはリネンなどの交換、クリーニング、バストイレつき。ホステルは相部屋になる可能性があること、バストイレ共同、シーツなどのリネンなし、クリーニングはセルフとのこと。(当たり前な感じではありますが、ホテルのグレードがよく分からない状態だったので聞いてみました。)
ホステルの部屋は二人部屋なので二人だと相部屋になることはほぼないようです。宿泊者が多い時はソファーに3人目が寝る可能性があるのこと。

今回はゆっくり 過ごしたいのと、気を使わずにシャワーを浴びたい、洗濯も存分にしたいということでホテルを選択。それと奥さんの足の様子も見たいので2泊することにしました。STF会員だと割引が受けられるということでその場で入会して少しお安く泊まることができました。その後の山小屋も安く泊まれるので事前に会員になっておくとお得だと思います。

部屋の用意まで少し時間がかかるということなので施設内を探検します。
売店ではハイキング中の食料はもちろんフェールレーベン、フーディニ、ホグロフスの商品や虫除け、燃料、石鹸シャンプー、地図、日焼け止めなどなど必要なものは全てありました。手ぶらで来てもすぐにハイキングに出かけられる品揃えに感動しました。
ラウンジでは翌日のガイドハイクなどのアクテビティの募集がいくつも掲示されていてそこに名前を書き込むだけで参加できるようになっていました。(もちろん有料)
ラップランド料理が食べられるレストランやサウナもあります。一週間荒野で生活してきた私にこの施設はまさに天国でした。


探検後に受付に戻ると準備ができたとのことで鍵を受け取り部屋に移動しました。荷物を投げ置きまずはバスルームに駆け込みました。汚れを落として落ち着いたら売店で購入したビールで乾杯です。いやぁ、本当にお疲れさまでした。
次にやることと言えば洗濯。これまた売店で購入した万能洗剤で衣類を片っ端から洗濯です。湿地に浸かり続けた靴下はどんなに洗濯しても黒い液体が出続けるのでした。

どうしようもないので途中であきらめて夕食へ。 せっかくなのでレストランでトナカイの肉を食べます。

リンゴンベリーの甘いソースと付け合わせはジャガイモ。ケモノの香りに甘いベリーのソースの組み合わせが美味しかったです。

部屋に戻ってまたビールを飲みながらのんびり過ごしました。
wi-fi完備なのでブログ、FBの更新やメールをしたりでベッドでゴロゴロしているうちに眠くなりまだまだ明るい20時頃就寝。

2016年5月14日土曜日

第1セクション キルピスヤルビーアビスコ その3

六日目。
雨の朝でした。風も少々。
進めないほどではなかったので雨の中でテントを撤収して歩き始めます。
(雨の中なので写真はしばらくナシなのです。)
視界が悪く慎重に目印を探しながら進みました。足元は岩、先はガスに包まれたグレーの世界を峠越え。奥さんは途中2回転んでいてとても辛くて痛そうでした。濡れた慣れない岩場をおっかなびっくり歩いているので余計に滑りやすいのでしょう。疲れもあるので踏ん張りも効かなかったのだと思います。それでも弱音を吐かずに歩いてくれる強い人です。

2時間かけて峠を越えて下りになったところで少しずつ天気が回復してきました。
お昼目標のgaskashytta小屋までもう少しというところで5人の年配ハイカーとすれ違いました。アビスコからキルピスヤルビまで2週間かけて歩くとのこと。我々がここまで6日できたと話すとストロングと一言。自分たちはゆっくり歩いて楽しむわ〜(意訳)と雨でびしょ濡れな状況でも楽しそうに話す彼女らに奥さんもいろいろと感じるところがあったようです。


風が強いながらも青空も見えてきて人と話したことで気分の良く歩くことができてすぐにgaskashytta小屋に到着。小屋の脇でお昼を済ませ次の小屋へと歩いているとドイツ人ハイカーに出会いました。軽い自己紹介の後、彼がこういうのです。

「アビスコなら湖の先からバスが出ているよ。」

え?あれ?ワープしてしまった?
アビスコまで湖沿いに舗装路歩きがあるということではありましたがこの湖の脇を走る道でバスがある?おやや?アビスコまでは70kmほどある予定なのは情報に間違いがあったのでしょうか?もう着くのだったら嬉しいなぁ。

冷静に考えればそんなことがあるはずはなく、英語の理解力が低いのと疲れていたことでいい方に考えてしまっていました。 実はこの前後50kmの地図が手に入れられず、スマホのルートアプリ参照して歩いていました。 アプリを拡大縮小して確認していればよかったのでしょうが、次の湖に対して自分たちがどこにいるかだけを確認して歩いていたのも失敗でした。


奥さんはもう直ぐ到着だと嬉しそうに歩いていきます。もうバスに乗ることも決めているようです。そして直ぐに湖に出て対岸に回り込むべく湖沿いのトレイルを進みます。やっぱり何かおかしい。もう一度アプリを立ち上げ地図を広く見ると・・・
1つ手前の 湖だということに気がつきました。うなだれる奥さん。残念でした。



と、まぁ少しがっかりして忘れていた疲れが出てきてしまったようなのでこの日は早めに川が湖に流れ込む直前の綺麗で水量豊富な場所にテントを張って汗を流して寝てしまいました。

七日目
 風が強く雲の多い朝でした。歩き始めてすぐに別荘地に到着。整備されたトレイルで歩きやすくスタスタと進んで行きました。


車道に出て石積みでせき止められたダムの上を歩いて進みます。工事現場の脇をすり抜けてなんとなく下界に降りてきた感じがしました。会話も昔のテレビ番組の話になったりとか。
そういえば歩いている間は特に会話はありません。たまに目新しいものがあるとその話題になったり、急に歌を歌い出したり、足の調子を聞いたりとか程度です。ぼんやり歩いている時間が多かったです。


なんとなく落ち着かない下界を足早に抜けてトレイルに戻りました。しばらくはジープ道と交錯するしっかりとした歩きやすい道を上って峠手前からはまた道なき道を歩きます。ラクダのこぶが連続するような歩きにくい場所でしたが、これが北緯66.6°に出てきたアレだと思うとそれはそれで面白いものでした。なかなか前には進みませんでしたけど。
この日は本物のアビスコがある湖が見えてきたところでテントを張って終わりにしました。

八日目。


湖まで降りて湖沿いをぐるり。途中で奥さんが三日目に捻った足が痛いとのことでテーピングをして進みました。どうにか午前中で舗装路に出ることができました。あと15kmほどでアビスコに着きます。しかし、奥さんの足は限界でバス停を探すことに。2kmほど歩くとバス停はありましたが日本のように時刻表がないのでいつバスが来るか分かりません。そもそもバスが走っているのかも怪しい感じです。仕方なく5km先の駅とホテルがあると地図に出ているBjörklidenを目指して風の強い中トボトボと歩くきました。途中、道の脇の川で水を汲んでお昼。日本で川で水を汲んで食事を作るなんてあんまりないねーなんて二人で笑いました。

Björklidenは街ではなくてスキー場のあるリゾート地で夏場である今は閑散としていました。駅舎はあるものの誰もいなくて情報も何もありません。駅前にはバス停もありますがここも何の表示もなく、どうしたものかと途方に暮れていると後ろからバスが!素晴らしいタイミングでした。ここで本気を出す奥さん。飛び跳ねるように手を振りバスを止め行き先を確認後、交渉して乗せてもらうことができました。さっきまで疲れてぐったりしていたのに。人間てすごいなぁ。

そこからアビスコまではあっという間。文明って素晴らしい。降り際に料金を払おうとしたら受け取ってもらえませんでした。小さなアジア人が必死に助けを求めてきたので同情したのでしょうか?一区間分の料金を徴収するのが面倒だったからでしょうか?とにかく感謝してバスを降りました。

ということでキルピスヤルビから180km(+バス10km)を八日間かけて第一補給地のアビスコに到着です。

アビスコ滞在編に続く。

2015年10月21日水曜日

第1セクション キルピスヤルビーアビスコ その2

四日目。
風の強い日。雲も多め。日が隠れると寒さを感じます。
ルート上は湿地だらけ。シューズは濡れっぱなし。ちょっともうあきらめました。


強い風の中に現れたのは30m弱の幅の大きめの川。ひざ下ほどの深さの水はとにかく冷たくシューズを履いたまま渡渉することにしました。ザックが風に押されて体が振られます。緊張を強いられる渡渉でした。渡りきったときの脱力感たらありません。
川から直登ぎみに峠に進んでいるとさらに風が強くなってきました。
止まっていると体が冷えるので休憩は一息つくだけ。奥さんはゴホゴホし始めていて体調もイマイチな様子。早めに切り上げたいけれど、こんなに風が強くてはテントを張ったところで落ち着かない。そもそも岩が多いのでペグを打つのも難しいとなるとテントが飛ばされてしまいそう。なかなか厳しい状況です。風の弱い落ち着いた場所を探して進むしかありません。

と、峠の上に人影が。
赤いヒゲのハイカーが立っていました。挨拶をして少し立ち話。彼はこのエリアに入って54日目とのこと。風をまったく気にしていない様子でなんだかそもそも身体の作りが違うようです。風が強いなんてここでは当たり前すぎて気にしてないだけかもしれないけど。

奥さんは彼に「赤ひげ」とそのまんまなアダ名をつけて「グッドラック ハッハー」と言っていたと勝手に口癖を作って笑っていました。気分転換になったようでなにより。

その後、私は湿地で転んでフリースを泥まみれにしたことでなぜか気分か切り替わって楽しくなってきました。どうしょうもないねって思うと気分は上昇するようです。


風は相変わらず強いものの歩き慣れてきたこともあってテンポよく余裕を持って歩けるようになってきました。
峠を越え平らな道を進むと最後は緩やかに下る谷の上。視界が開け眼下に小屋が見えました。今日目標にしていた30km先のDividals hytta小屋です。もう30km? そういえば途中の道標には25kmって。どっちでも目標距離は達成しているのでまぁいいとしましょう。奥さんはだいぶ無理して歩いてくれたようです。感謝感謝。
この日は小屋の脇にテントを張りました。テントを張ったら雨が降ってきたのはお約束。
一晩中雨、風ともに強く落ち着いて眠れない夜でした。

五日目
出発前に雨はやんで天気が回復傾向になりました。
トレイルは川に向かって下りていき森の中へ。川沿いは蚊が多く止まって休憩することができません。とにかく早く抜け出したいとショートカットの道標に従って進みますがすぐに道を見失い結局は戻ることに。その間も蚊に刺され続けて痒いこと痒いこと。
元の道に戻って橋を渡りつぎの峠に向かって高度が上がっていくと蚊も減ってようやく落ち着いて歩くことができるようになりました。
眼下の流れは青くて見た目に涼しく滝も爽やかに見えて暑さを感じる登りでも気持ちは爽快でした。11時近くになると風が強くなってその後は一日中強風。さらに蚊が減って快適になっていきました。
 道中に珍しく木道が設置されていて、あまりの歩きやすさに感動を覚えてみたりするわけです。高速道路だねぇなんて言いながらスタスタと。さすがのノルウェー人もここに木道がないと大変なことになるというのが分かっていたようで何よりです。

 
怪しげな道標に惑わされることなく進み、森を抜けていつもの北欧トレイルに戻ると年配のハイカーとすれ違いました。お互いに英語が下手でイマイチ話がかみ合わないのですが、地図を見せながらどこから来たのかと何日目かとここは素晴らしいとどうにか伝わったのではないかと。あちらは11日ほどこのエリアを歩いているのだということはどうに理解できた感じです。(ちなみに、地図を見せた時に老眼鏡をかけていたので彼はローガンさんということになりました。)

トナカイ先輩に睨まれつつもそれから1時間半でVuoma hytta小屋に到着。
強い風を避けるように小屋の脇で休んでいると向かいの小屋から青年がこちらに歩いてきて話しかけてくれました。ヘンドリックと名乗るその青年は6ヶ月ほど日本に留学したことがあると日本語混じりに話してくれるのですが心の準備ができていなかったのとちょっと疲れていることもありあまり言葉が出てきません。会話も弾まず・・・ちょっぴり気まずい空気。悲しそうな顔のヘンドリック。日本人相手に楽しい会話をしたかっただろうに。
ごめんよ、ヘンドリック。

申し訳ないことをしたねと話しながら再出発。
しかし、今日の目標だったVuoma hyttaに到着してしまったことで奥さんのモチベーションがダダ下がり。まだ早い時間だったので少しでも距離を稼いで今後を楽にしたいところですが無理をさせても仕方がないので早めにテントを張ることにしました。
風が強いので風が避けられるところを探して歩きます。低いとこを見て回りますが湿地だったり石が多かったり。一度、窪地で試してみますがペグが奥まで刺さらず風で倒れそうなので断念。峠への登りを30分以上歩いたでしょうか。ようやく水のない深い窪地を発見してテントを張りました。
雨も降り出してテントの中でここまでのこと、これからのことをボンヤリ考えながら過ごします。

自由にテントを張っていいということで歩いていても快適な場所というのは少なく毎日多少なりとも妥協していました。この日も風を避けられることを最優先させたので水場の近くではないし風景もよくはありませんでした。それでも、風をうまく避けることができてテント内だけは快適な場所を確保できたことが嬉しくちょっと誇らしい。
 毎日、違った風景と何らかしらの困難。常にFunな状態ではないけれど考えて行動して解決したり諦めたりしてどうにかこうにか進んでいけるこの状況。余計なことを考えずに歩けることは幸せなのかもしれないなと思うのでした。

2015年10月7日水曜日

第1セクション キルピスヤルビーアビスコ その1

14時30分にキルピスヤルビのホームセンターを出発。
初日はフィンランド、スウェーデン、ノルウェーの三国国境を目指します。
 三国の国境は有名な観光地なので最初に駆け込んだホテルの受付で情報を教えてもらえました。トレイルまでは5kmあって途中2kmのところにショートカットできるボート乗り場があるとのこと。ボートには乗らない予定で歩き出してはみたものの、舗装路歩きはつらいもの。歩き出しは荷物も重く10分くらいで心は折れ気味。ボート乗り場へ行ってみることにしました。
もうちょっと観光地っぽいボート乗り場を想像していたのですけどもね。本当にここなのか疑うレベルでした。手前の小屋の時刻表を確認すると次の出発は2時間後。なかなか微妙な時間です。
初日からボート待ち2時間はないでしょうってことで仕方なくトレイルまで歩くことに。
トナカイ先輩とすれ違いつつ。3km先のトレイルの入り口まで。
舗装路の脇の砂利道に道標があってそこからトレイルに入っていきます。
「スタートです!ババーン!」みたいな入り口を期待していた奥さんはちょっとガッカリしたようでした。そもそもトレイルの途中から歩き始めるので仕方のないことなんですが、国立公園の入り口でもあるのでもう少しなにかあっても良さそうだとは思うのですけどね。
そんなことを思いつつも、やはり北極圏トレイルを歩き始めたという高揚感に包まれていました。先ほどまで感じていた荷物の重さもあまり感じなくなっています。
前半は北極圏らしい原野で坂を登るたびに気持ちのいい景色が広がります。素晴らしいなって思って振り返ると奥さんが「素晴らしい景色だね。」と。同じことを思ってくれていて嬉しかったです。

しかし、意気揚々と歩いていたのは行程の半分ぐらいでしょうか。高度が下がって森に入ると渡渉あり湿地ありで1つ1つは楽しいものの進みは遅く、移動から休むことなく歩き始めているので疲れも出てきました。
シューズをグショグショに濡らしながらどうにか国境に着いたのは21時を過ぎたころ。
荷物を置いて木道を歩き湖の中の国境点に向かいます。そして2周回って国境を歩いて跨ぐことを満喫。トレイルに戻ってスウェーデン側に移動してテントを張りました。
(フィンランド側の国立公園内はテント泊禁止だったためです。)

二日目は6時起床。夜に雨が降ったらしくテントはビショビショに濡れていました。乾くのを待ちながらゆっくり朝食を食べ8時に歩き始めました。
 トレイルというか原野の中はどこを歩いてもよいのですが、積まれた石にペンキが塗ってあるマークに沿って進むと踏み跡があって歩きやすいのです。道を外すといきなり崖の上だったり湿地の中だったりするのでショートカットするよりも設定通りに歩くほうが結局は早いという結果に。
トレイル従っても湿地にまっすぐ突っ込んでいくこともあるのでトレイルランシューズがいつも濡れっぱなしなのはなかなか萎えますけどね。

雲が多い空模様で気温も低くなくハイキングにもってこいのこの日はのんびりと歩いていました。私も奥さんもランナーなので1日20kmは余裕でしょうと。トレイルランのレースだったら4〜5時間で到達する距離なんです。日が沈むのが22時過ぎですし10時間ぐらいは歩けるんじゃないかと。つまりは1時間に2km進めばいいわけでかなりのんびりしていました。ゆっくりで楽しいハイキングだねぇなんて話していたころ道標があって3時間で2kmしか進んでいないことが判明します。
 まったく進めていないことに驚きました。1日20kmの設定だとのんびりとはいかないようです。しっかり歩いてしっかり休憩ということに方針変更で進みます。

ひと雨あった後、15時ごろに小屋につきました。スウェーデンでは小屋番の人がいてハイカーを迎えてくれます。軒下を借りて雨具を脱ぎ休憩。小屋番のおじさんとカタコト英語で近くに素敵な滝があるんだとか、なんでこんな北の地まできたのかという話をしました。このあともなぜ日本人がここに来たのかという質問はよく質問されました。さまざまな理由が重なってきているのですけども、広い場所と長いトレイルが日本にはないということと姉がヘルシンキにいるからということぐらいしか伝えられないのが残念なところ。


小屋の周りは広い平原で気持ち良く歩けました。
3kmほど歩くと国境の看板がありました。道標がなくなっていたのでこの看板を目指して歩いていましたが湿地でズブズブ。あとから見つけた踏み跡から20mぐらいは離れていたところでした。湿地は踏み跡が消えてしまうのと、踏み跡があっても濡れないようにあちらこちに散らばるので辿っていくとトレイルを大きく外れることもしばしば。やっかいなところです。

それから30分ほどすると疲れも出始めたので湖を回り込んだ少し高いところでテントを張りました。直後に雨が降ってきたので無理に進まなくて正解だったかもしれません。
「16kmしか歩けていなくて焦る」と日記には書いていました。

三日目
朝から快晴で夕方まで暑いぐらいの気温でした。
4kmほど歩くとノルウェーで始めての小屋。
ノルウェーではツーリストインフォメーションなどでデポジットを払い鍵を借りるシステムで小屋番はいません。中を覗くとガスレンジ、薪ストーブやベッドなど快適そうな小屋でした。残念ながらフィンランド側からトレイルに入った我々は鍵を持っていないので外から眺めるだけです。

小屋の脇は大きい川だったので持参したテンカラ竿で釣りをしてみました。
しかし、残念ながらまったく反応なしでボウズでした。そこで出なきゃでないよねって場所にもキャストしたので魚はいなかったということにしておきます。
そして、釣りしている間にいろいろなことろを蚊にさされたのでした。
午後になると岩が多く転がる場所に歩くことが多くなかなか進みません。奥さんは滑って足首をひねってしまった様子。午前中テンポよく歩けたので最終的には20kmを達成することができましたが、奥さんには少し無理をさせたので明日が心配です。

蚊について
トレイルには大きな蚊がたくさんいます。大きいので刺された瞬間痛いです。
長袖を着ていても布の上から刺されるので肌を出して虫除けを塗っていたほうがマシなぐらいです。ヘッドネットは必須です。帽子をかぶっていないと頭も刺されます。歩いているときに一番動かない肩はボコボコになりました。
昼食のときもテントを張るときも蚊取り線香がないとやってられません。
蚊取り線香は重さが許すかぎりたくさん持っていくことをお勧めします。