2016年8月24日水曜日

第2セクション アビスコーリッツェム その4

18日目
歩き始めて間もなくトレイルは湖に挟まれた細い地峡のような場所に向かって行きました。

地図ではその先が繋がっているのかどうか読み取ることができません。これはもしかしたら例の場所なのではと期待に胸を膨らませて進んでいきます。
その一番細い場所は
対岸へは繋がっておらず1艇のボートが置いてありました。
これです!これ!
ついにこのハイキング一番のお楽しみポイント到達することができました!
ここはボートを漕いで渡り、対岸のボートを牽引して引き返してボート元に戻し、また1艇だけで渡り直します。必ず両側1艇ずつになるように調整してから進むのです。面倒といえば面倒なのですが、それを楽しみにここまで歩いてきました。ついに体験することができます。
上の写真は2艇で戻ったところです。1艇を陸に引き上げてから渡り直します。
オールもボートも重くて1日分の力を使ってしまいました。それで楽しい経験ができたことでその後も楽しく歩くことができました。

何度かトナカイ柵と川を越え国境も越えるとラップランドでは珍しい水深のある緩やかな流れに出ました。小さいながらも魚影が見えたので久しぶりに竿を出してみます。警戒心のない小魚の前にフライを落とすと即座に反応がありました。合わせてみるとスポーンと引き抜けて手元に来る前にオートリリース。まぁ、つまりはうまくフックさせることができません。3回ぐらいバラしたところで諦めました。残念。結局、このハイキングを通して魚を釣り上げることはありませんでした。

ボートを漕いだり、釣りをしたりでいつもと違う1日になりました。気分転換ができて良い日でした。

19日目
久しぶりに雲が多めで気温の下がった日でした。午前中は蚊に追われて進むうちに時間が過ぎて行きます。お昼近くになりさらに攻撃を強める蚊から逃げるように登った峠の上には素敵な風景が広がっていて思わず足を止めました。
峠には小さい池があり、水面に雪が浮かんでいて少しずつ溶けていく様子が見られました。白い雪が水の中で青く深い色に染まっていきます。これが山の上の風景だということがとても神秘的で見とれてしまいました。
 とても幸せな風景だったのでこれを眺めながらお昼を食べることにしました。
食べるものはいつものアルファ米ですが、今日のはいつもより美味しい気がします。
ついでに記念撮影。
お遍路さんではありません。もう少しこざっぱりした見た目にできるといいのですけどね、何ぶんおじさんなもので。すいませんです。

食事を済ませ、いつもより多めに休憩をとって出発しました。ここからほぼ下りです。距離の目標となる小屋を通り過ぎて鋭角に曲がったら国境を越えてスウェーデンへ入りました。ここでノルウェーとはお別れです。この先は最後までスウェーデンです。
そして、途中から北極圏トレイルとも一旦お別れすることにしました。これはアビスコで下調べをして進行状況で判断しようということにしていたことです。ここまでで10日かかっています。このまま北極圏トレイルを進むと5日以上かかりそうです。そうなると体力的にも食料的にも厳しそうです。ルートも面倒で大きな湖を回り込むように歩き船で戻るように補給地のリッツェムに渡り、再度船で進まなくてはなりません。なんだか無駄が多いような気がします。
そこで大きな湖の手前で北極圏トレイルから離れてリッツェムまでショートカットすることにしました。そこはグレンスレーデンという有名ではないルートなのですが、新しく整備された道だそうなので問題はなさそうです。リッツェムまでの距離はおよそ60kmなので3日で到着の予定です。

小屋からなだらかな下りをひたすら歩いてそろそろ分岐点だというところまで来ているのに一向に道標が見えません。何度GPSで確認してもほぼ間違いないのに発見できません。
それは窪地に隠れるように立っているのですから上からでは発見できないはずです。しかし、表示は消えていないのでクングスレーデンと北極圏トレイルの分岐よりはマシだったのかもしれません。
ということで、 無事にグレンスレーデンに入ることができました。
グレンスレーデンのマークは4色でとても分りやすく比較的穏やかな地形で視界も広く歩きやすいトレイルです。
 このルートに小屋は1か所しかありませんが途中に風除けの休憩所があります。食事の時は助かりました。
そして、奥さん念願のベリーの群生がありました。ビルベリーとクラウドベリーがあちらこちらに。蚊が多い中で夢中で採取していました。奥さんもこのハイキングでの目標を達成したようです。

20日目
ベリーを見つけては「わかさ生活」 と言ってきてうるさい。(しかもモノマネ)
 上機嫌でベリーを摘みながら歩いているのでそっとしておくことにしました。
私も適度に摘んで食べながら歩きます。乾燥したものばかり食べているのですっぱさがとても美味しく良い刺激になりました。
トレイルはゆっくりと高度を下げて行き大きな湖のほとりに出ました。 そこには立派な吊り橋が…なんかおかしいです。どうやってもその吊り橋に乗ることができなさそうです。よく観察してみると、どうやら湖が増水してトレイルが水没しています。吊り橋自体は水の上にあるのですが、そこに至る階段までは水の中なのです。これは困りました。水深は1mぐらいありそうです。しかも、湖への流れ込みにあるので水の中に入るという選択肢はなさそうです。仕方がないので脇の斜面から吊り橋を吊っているワイヤーを頼りに橋の上まで移動することにしました。
1mほどの幅の左右のワイヤーに足を置き足元から腰までつり上がっていくワイヤーを手で掴み慎重に歩を進めます。このハイキング中一番怖かった場面でした。ヨタヨタしつつもどうにか渡りきり、次は奥さんの番。彼女はこういうことは怖くないらしく余裕の表情で歩き始めます。問題なさそうと思った矢先、半分ぐらいのところで足を滑らせてバランスを崩す奥さん!見てるこっちは心臓止まるかという思いだったのに「テヘッ」みたいな顔をしています。困ったものです。どうにか無事に二人とも渡りきりまして一番の難所を通過しました。
水没さえしていなければこんなに立派な吊り橋で安全そうなんです。渡りきると焚き火跡があって開封していないビールが置いてありました。「お疲れ様」ってことなんでしょうかね?手をつけませんでしたけど。
この後もトレイルが湖の縁を通るたびに浸水していて道なき道を迂回することになり疲労困憊でした。
木が生えているところはなかなかいいテント場がないので仕方なく平そうな高台で就寝です。

0 件のコメント:

コメントを投稿