2015年10月7日水曜日

第1セクション キルピスヤルビーアビスコ その1

14時30分にキルピスヤルビのホームセンターを出発。
初日はフィンランド、スウェーデン、ノルウェーの三国国境を目指します。
 三国の国境は有名な観光地なので最初に駆け込んだホテルの受付で情報を教えてもらえました。トレイルまでは5kmあって途中2kmのところにショートカットできるボート乗り場があるとのこと。ボートには乗らない予定で歩き出してはみたものの、舗装路歩きはつらいもの。歩き出しは荷物も重く10分くらいで心は折れ気味。ボート乗り場へ行ってみることにしました。
もうちょっと観光地っぽいボート乗り場を想像していたのですけどもね。本当にここなのか疑うレベルでした。手前の小屋の時刻表を確認すると次の出発は2時間後。なかなか微妙な時間です。
初日からボート待ち2時間はないでしょうってことで仕方なくトレイルまで歩くことに。
トナカイ先輩とすれ違いつつ。3km先のトレイルの入り口まで。
舗装路の脇の砂利道に道標があってそこからトレイルに入っていきます。
「スタートです!ババーン!」みたいな入り口を期待していた奥さんはちょっとガッカリしたようでした。そもそもトレイルの途中から歩き始めるので仕方のないことなんですが、国立公園の入り口でもあるのでもう少しなにかあっても良さそうだとは思うのですけどね。
そんなことを思いつつも、やはり北極圏トレイルを歩き始めたという高揚感に包まれていました。先ほどまで感じていた荷物の重さもあまり感じなくなっています。
前半は北極圏らしい原野で坂を登るたびに気持ちのいい景色が広がります。素晴らしいなって思って振り返ると奥さんが「素晴らしい景色だね。」と。同じことを思ってくれていて嬉しかったです。

しかし、意気揚々と歩いていたのは行程の半分ぐらいでしょうか。高度が下がって森に入ると渡渉あり湿地ありで1つ1つは楽しいものの進みは遅く、移動から休むことなく歩き始めているので疲れも出てきました。
シューズをグショグショに濡らしながらどうにか国境に着いたのは21時を過ぎたころ。
荷物を置いて木道を歩き湖の中の国境点に向かいます。そして2周回って国境を歩いて跨ぐことを満喫。トレイルに戻ってスウェーデン側に移動してテントを張りました。
(フィンランド側の国立公園内はテント泊禁止だったためです。)

二日目は6時起床。夜に雨が降ったらしくテントはビショビショに濡れていました。乾くのを待ちながらゆっくり朝食を食べ8時に歩き始めました。
 トレイルというか原野の中はどこを歩いてもよいのですが、積まれた石にペンキが塗ってあるマークに沿って進むと踏み跡があって歩きやすいのです。道を外すといきなり崖の上だったり湿地の中だったりするのでショートカットするよりも設定通りに歩くほうが結局は早いという結果に。
トレイル従っても湿地にまっすぐ突っ込んでいくこともあるのでトレイルランシューズがいつも濡れっぱなしなのはなかなか萎えますけどね。

雲が多い空模様で気温も低くなくハイキングにもってこいのこの日はのんびりと歩いていました。私も奥さんもランナーなので1日20kmは余裕でしょうと。トレイルランのレースだったら4〜5時間で到達する距離なんです。日が沈むのが22時過ぎですし10時間ぐらいは歩けるんじゃないかと。つまりは1時間に2km進めばいいわけでかなりのんびりしていました。ゆっくりで楽しいハイキングだねぇなんて話していたころ道標があって3時間で2kmしか進んでいないことが判明します。
 まったく進めていないことに驚きました。1日20kmの設定だとのんびりとはいかないようです。しっかり歩いてしっかり休憩ということに方針変更で進みます。

ひと雨あった後、15時ごろに小屋につきました。スウェーデンでは小屋番の人がいてハイカーを迎えてくれます。軒下を借りて雨具を脱ぎ休憩。小屋番のおじさんとカタコト英語で近くに素敵な滝があるんだとか、なんでこんな北の地まできたのかという話をしました。このあともなぜ日本人がここに来たのかという質問はよく質問されました。さまざまな理由が重なってきているのですけども、広い場所と長いトレイルが日本にはないということと姉がヘルシンキにいるからということぐらいしか伝えられないのが残念なところ。


小屋の周りは広い平原で気持ち良く歩けました。
3kmほど歩くと国境の看板がありました。道標がなくなっていたのでこの看板を目指して歩いていましたが湿地でズブズブ。あとから見つけた踏み跡から20mぐらいは離れていたところでした。湿地は踏み跡が消えてしまうのと、踏み跡があっても濡れないようにあちらこちに散らばるので辿っていくとトレイルを大きく外れることもしばしば。やっかいなところです。

それから30分ほどすると疲れも出始めたので湖を回り込んだ少し高いところでテントを張りました。直後に雨が降ってきたので無理に進まなくて正解だったかもしれません。
「16kmしか歩けていなくて焦る」と日記には書いていました。

三日目
朝から快晴で夕方まで暑いぐらいの気温でした。
4kmほど歩くとノルウェーで始めての小屋。
ノルウェーではツーリストインフォメーションなどでデポジットを払い鍵を借りるシステムで小屋番はいません。中を覗くとガスレンジ、薪ストーブやベッドなど快適そうな小屋でした。残念ながらフィンランド側からトレイルに入った我々は鍵を持っていないので外から眺めるだけです。

小屋の脇は大きい川だったので持参したテンカラ竿で釣りをしてみました。
しかし、残念ながらまったく反応なしでボウズでした。そこで出なきゃでないよねって場所にもキャストしたので魚はいなかったということにしておきます。
そして、釣りしている間にいろいろなことろを蚊にさされたのでした。
午後になると岩が多く転がる場所に歩くことが多くなかなか進みません。奥さんは滑って足首をひねってしまった様子。午前中テンポよく歩けたので最終的には20kmを達成することができましたが、奥さんには少し無理をさせたので明日が心配です。

蚊について
トレイルには大きな蚊がたくさんいます。大きいので刺された瞬間痛いです。
長袖を着ていても布の上から刺されるので肌を出して虫除けを塗っていたほうがマシなぐらいです。ヘッドネットは必須です。帽子をかぶっていないと頭も刺されます。歩いているときに一番動かない肩はボコボコになりました。
昼食のときもテントを張るときも蚊取り線香がないとやってられません。
蚊取り線香は重さが許すかぎりたくさん持っていくことをお勧めします。 

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