2016年5月14日土曜日

第1セクション キルピスヤルビーアビスコ その3

六日目。
雨の朝でした。風も少々。
進めないほどではなかったので雨の中でテントを撤収して歩き始めます。
(雨の中なので写真はしばらくナシなのです。)
視界が悪く慎重に目印を探しながら進みました。足元は岩、先はガスに包まれたグレーの世界を峠越え。奥さんは途中2回転んでいてとても辛くて痛そうでした。濡れた慣れない岩場をおっかなびっくり歩いているので余計に滑りやすいのでしょう。疲れもあるので踏ん張りも効かなかったのだと思います。それでも弱音を吐かずに歩いてくれる強い人です。

2時間かけて峠を越えて下りになったところで少しずつ天気が回復してきました。
お昼目標のgaskashytta小屋までもう少しというところで5人の年配ハイカーとすれ違いました。アビスコからキルピスヤルビまで2週間かけて歩くとのこと。我々がここまで6日できたと話すとストロングと一言。自分たちはゆっくり歩いて楽しむわ〜(意訳)と雨でびしょ濡れな状況でも楽しそうに話す彼女らに奥さんもいろいろと感じるところがあったようです。


風が強いながらも青空も見えてきて人と話したことで気分の良く歩くことができてすぐにgaskashytta小屋に到着。小屋の脇でお昼を済ませ次の小屋へと歩いているとドイツ人ハイカーに出会いました。軽い自己紹介の後、彼がこういうのです。

「アビスコなら湖の先からバスが出ているよ。」

え?あれ?ワープしてしまった?
アビスコまで湖沿いに舗装路歩きがあるということではありましたがこの湖の脇を走る道でバスがある?おやや?アビスコまでは70kmほどある予定なのは情報に間違いがあったのでしょうか?もう着くのだったら嬉しいなぁ。

冷静に考えればそんなことがあるはずはなく、英語の理解力が低いのと疲れていたことでいい方に考えてしまっていました。 実はこの前後50kmの地図が手に入れられず、スマホのルートアプリ参照して歩いていました。 アプリを拡大縮小して確認していればよかったのでしょうが、次の湖に対して自分たちがどこにいるかだけを確認して歩いていたのも失敗でした。


奥さんはもう直ぐ到着だと嬉しそうに歩いていきます。もうバスに乗ることも決めているようです。そして直ぐに湖に出て対岸に回り込むべく湖沿いのトレイルを進みます。やっぱり何かおかしい。もう一度アプリを立ち上げ地図を広く見ると・・・
1つ手前の 湖だということに気がつきました。うなだれる奥さん。残念でした。



と、まぁ少しがっかりして忘れていた疲れが出てきてしまったようなのでこの日は早めに川が湖に流れ込む直前の綺麗で水量豊富な場所にテントを張って汗を流して寝てしまいました。

七日目
 風が強く雲の多い朝でした。歩き始めてすぐに別荘地に到着。整備されたトレイルで歩きやすくスタスタと進んで行きました。


車道に出て石積みでせき止められたダムの上を歩いて進みます。工事現場の脇をすり抜けてなんとなく下界に降りてきた感じがしました。会話も昔のテレビ番組の話になったりとか。
そういえば歩いている間は特に会話はありません。たまに目新しいものがあるとその話題になったり、急に歌を歌い出したり、足の調子を聞いたりとか程度です。ぼんやり歩いている時間が多かったです。


なんとなく落ち着かない下界を足早に抜けてトレイルに戻りました。しばらくはジープ道と交錯するしっかりとした歩きやすい道を上って峠手前からはまた道なき道を歩きます。ラクダのこぶが連続するような歩きにくい場所でしたが、これが北緯66.6°に出てきたアレだと思うとそれはそれで面白いものでした。なかなか前には進みませんでしたけど。
この日は本物のアビスコがある湖が見えてきたところでテントを張って終わりにしました。

八日目。


湖まで降りて湖沿いをぐるり。途中で奥さんが三日目に捻った足が痛いとのことでテーピングをして進みました。どうにか午前中で舗装路に出ることができました。あと15kmほどでアビスコに着きます。しかし、奥さんの足は限界でバス停を探すことに。2kmほど歩くとバス停はありましたが日本のように時刻表がないのでいつバスが来るか分かりません。そもそもバスが走っているのかも怪しい感じです。仕方なく5km先の駅とホテルがあると地図に出ているBjörklidenを目指して風の強い中トボトボと歩くきました。途中、道の脇の川で水を汲んでお昼。日本で川で水を汲んで食事を作るなんてあんまりないねーなんて二人で笑いました。

Björklidenは街ではなくてスキー場のあるリゾート地で夏場である今は閑散としていました。駅舎はあるものの誰もいなくて情報も何もありません。駅前にはバス停もありますがここも何の表示もなく、どうしたものかと途方に暮れていると後ろからバスが!素晴らしいタイミングでした。ここで本気を出す奥さん。飛び跳ねるように手を振りバスを止め行き先を確認後、交渉して乗せてもらうことができました。さっきまで疲れてぐったりしていたのに。人間てすごいなぁ。

そこからアビスコまではあっという間。文明って素晴らしい。降り際に料金を払おうとしたら受け取ってもらえませんでした。小さなアジア人が必死に助けを求めてきたので同情したのでしょうか?一区間分の料金を徴収するのが面倒だったからでしょうか?とにかく感謝してバスを降りました。

ということでキルピスヤルビから180km(+バス10km)を八日間かけて第一補給地のアビスコに到着です。

アビスコ滞在編に続く。

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